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窓から見える空は黄昏の時を迎え、夜へ向かおうとしている。
季節も変わり始め、昼間と夜間の気温差が激しい今日この頃。昼間の日照りからくる暑さなどまるで無かったかのように、今はそんな心地よい気温に落ち着いていた。
しかしそんな快適な気候とは裏腹に、事態は最悪の道筋を辿り始めている。
事は既に世界を超えた位置に移動し、一刻の猶予も許されない状況にある。
「元老院の石頭共め、まったく……」
少女が持つ少々高い声で発せられた暴言が辺りに響いていく。
廊下のような空間、どうやらここはそれなりに広いらしい。
「おい、女の子がそんな言葉遣いをするな」
今度は少年のような声で戒める声が響く。しかし見渡す限り、そのような少年の姿はない。
「女の子? もうそんな風に言われる歳じゃないのだけど」
「ん、そうか? 気にしていなかったが、何才になった?」
「……15」
それを聞いた後、数秒と経たない内にハッと鼻で笑う声が響く。
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