父親と息子の悲しみ‥

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晴彦は、いつもより気合いの入った顔で出社した。明らかにいつもの晴彦と違う雰囲気に回りが戸惑った いつもの様に受付に挨拶する晴彦。だが受付の女性が敏感に感じとり心配になって声をかけた。 「社長今日はお体の調子はいかがですか?」 彼女はいつも、自分に明るくそして、優しく挨拶をしてくれる晴彦が好きだった。だが、今日の晴彦はいつもと違い近寄りがたいオーラが出ているのだ 晴彦は言ったいつもの様に、にこやかな顔で、優しく暖かい声で。 「いやそんな事ないよ。快調そのもの元気。元気!心配してくれて有難う。今日も明るく頑張ろうね」 晴彦は嬉しかった。自分の感情の変化に気ずき心配してくれた事が。心がどんなに乱れても、直ぐに立ち直る強さが、幸福でもあり不幸でもあった。 父親に自分の立ち上げた会社を乗っ取られた時も失意のどん底で自殺をしかねない状況の中で、父親を許したのだ。 「会社を乗っ取ったのが、父親で良かったじゃないか!他の会社に乗っ取られたらこんな物では済まなかったよ。」 その優しさが、晴彦の良い所でもあり、悲しい所でもあるのだ。 会社創設時のメンバーもその時は晴彦の優しさに感動して付いて来てくれたが。 父親が、会長になってから会社が、おかしくなり出した。 会長は接待ばかりで、会社に利益を上げないばかりか、愛人問題で会社のイメージを悪くした。 社長の人事は、ただの取引先えのゴマすり人事だ。社員に入るお金を自分の懐に入れている。晴彦の父親の社内での評判は最悪だった。 そんな会長に嫌気が さして社員が、デモを起こした。晴彦を旗印にして。でも晴彦は、父親の泣いて謝る姿を見て、またも許してしまったのだ。 その甘さに嫌気がさし晴彦の親友4人が晴彦の元を去ってしまったその人達の部下も一緒に。今の晴彦は、父親の採用した部下しか居なく、会社を一人で支え今にも崩れ落ちそうな体に鞭を打ち仕事をしているのだ。 これから。自分の甘さを捨て父親から、会社を取り戻す。戦いが始まる。
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