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後晴彦の日課は、父親に朝の挨拶をしに行く事だ。いつもの様に会長室の扉をノックする。
「社長です。朝の挨拶に伺いました。」
父親の太い声で返信が帰ってくる。
「入れ。」
いつもの様に短い返事が帰ってくる
「失礼します」
深々と頭を下げ、会長室に入る晴彦。相変わらず悪趣味な成金主義の部屋だ。自分も昔お金の無い人間だったのにお金を持と、貧乏な人を馬鹿にした。父親の性格がよく解る部屋だ
「おはようございます!今日も一日よろしくお願いします。」
父親の太くて粗暴な言葉が帰ってくる
「つまらん奴だ。毎日同じ事しか言えんのか!そんな事だから、お前は女にモテ無いんだ!仕事しか能の無い能の無しがー!」
今日も父親のくだらない説教が始まる。どうやら期限が、悪いらしい。晴彦は思った。
(最近親父の取引先の社長令嬢の誘いを断り続けている事に腹を立ててやがるな。)
恋愛の事まで、父親の思い通りになるのだけは嫌だった。
晴彦は未だに昔の恋を忘れられずに苦しんでいるのに。
父親は、会社の目先の利益の為に晴彦とその会社の社長令嬢を結婚させたいのだ。
「会長私にも色々と考えている事があります時間を取らせて頂いてよろしいですか。」 父親は面倒さそうに言った。
「いつも朝から堅苦しい奴だ。そんな事だから、女にモテ無いし、部下にも人気が無いんだお前は!馬鹿者!」
この一言にさすがの晴彦も頭に来てつい感情を出してしまった。
(人が真面目な話があるって言ってんのに、話聞いてねえのか、オヤジ!いつも同じ事しか言わないのはお互いさまだコラ!)
それでも、自分の感情をコントロールして、怒りを沈める晴彦穏やか口調で、話かけた。
「お父さんお話と言うのは…馬鹿に者!」
父親が晴彦の話をさえぎりいきなり怒鳴った「会社では会長と呼べといつも言ってるだろう!この鳥頭が!」
(フウ相変わらずムカつくジジイだなお前は!お前が堅苦しいしいと言ったからだろ!だから口調を変えただけだボケ!鳥頭はお前だ!俺は母親似で良かったよ!)
と言えたらどんなに幸せだろうと思う晴彦。怒りを握り潰し晴彦は父親に謝った。
「申し訳ごさいません以後気おつけます。お話と言うのは、中途採用を、我社は新卒の採用ばかりで、企画部門が成り立ちません。人生経験豊富な中途採用者は企画の要になる事でしょう」
父親は顔を真っ赤にして怒った。
「お前の話は長いし、分からん好きにしろ馬鹿が!」
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