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晴彦は穏やかに言った。
「はい!ありがとうごさいます。これからも会社の為に、頑張りますので、見守ってください」
「ああわかった。好きにしろ。今日は、麻貴さんの父親と、ゴルフなんだ。今度、麻貴さんの誘いを断ったりしたら。給料下げるからな!」
「時間を取らせて申し訳ございませんでしたでは、失礼致します」
今回の戦いは、完璧に晴彦の勝利だった。経営の経験も無く、友達も居なかった父親に、晴彦が負ける訳が無かった。何故そんな父親に晴彦は会社を乗っ取られたのか。それは、父親の陰謀による者で父親は息子をハメたのだ。その事を晴彦は、知らない会社を救ってくれた恩人だと、勘違いをしているのだ。
晴彦は心の中で呟く。(親父には悪いが、この会社は、俺の手に取り戻す。このままでは会社がつぶれて、親父も俺も借金まみれで、死んじまう!)
晴彦は次の計画に向かいまた一歩を踏み出した。
その時、晴彦の最も 信用する人物、松平常務が歩いて来た。
彼がいなければ会社は当の昔に倒産していただろう。
「松平常務おはようございます!」とびっきりの笑顔で挨拶をする晴彦。彼の事が大好きなのだ。
「おはようございます長尾社長!」彼もまた爽やかな太陽の様な笑顔で答える。
彼も晴彦と同じ歳になる息子がいて、息子も晴彦の様に育って欲しかったと思っていた。
「松平常務後で社長室に来てくださいね。大切な話があります!」 常務は少し神妙な顔になって答えた。
「覚悟して聞きに行きます。では後ほど社長室に参ります。」
晴彦は心の中で決意を固めた。
(この人が味方をしてくれれば、これほど心強い事は無い。人事改革の成功は、この人次第だ。頑張るぞ!)
そして、廊下ですれ違う社員全てに元気に朝の挨拶をして。社長室に向かった。
そして、社長室の椅子に座り、大きく鋭い瞳を閉じて心を強める為に瞑想状態に入り、常務が来るのを静かに待った。
これから始まる父親から会社を取り戻す、戦いに備え、虎視眈々と己れの刃を研ぎ清めて行った。
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