動き出した運命

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動き出した運命

「失礼します」 松平常務が来たようだ晴彦は、ゆっくりと瞳を開いた。昔の様に、光あふれる少年の様な瞳に戻っていた。 「どうぞ」と、穏やかだが、凛とした声で答えた 「社長お話とは何ですか?」 晴彦は、松平常務を真っ直ぐ見つめて言った「まずは椅子にお掛になってください。長い話になりますので。」松平常務は、ゆっくりと椅子に座った。 「では、お話を聞かせてください」 「はい。話と言うのは人事の改革についてです。我が社では、今年新卒者の採用ばかりで中途採用無しの状態です。松平常務はこれについてどう思いますか?」 松平常務の目に情熱の炎の色がうかんだ。 「私も、その改革に賛成です。社長は私にその改革を行えと言うのですね。」 「さすが、松平常務ですね。俺が一を言えば、常務は十を考えてくれる。常務改革の遂行よろしいお願いしますね頼りにしています」 その言葉聞いて嬉しそうに照れて頭をかいた 「はい!お任せください。ですが、会長が黙っていないでしょう。どうする気ですか?」 晴彦は、名前の様に爽やかな笑顔で言った。「もう手は打ってあります。ですが、今日中改革を成功させねば、策は成り立ちません。会長が、ゴルフから帰る前に。会長以外の全ての重役の給料10%カット。更に社員の給料5%カット無理を承知でお願い致します。松平常務は、わが社の最後の砦何です。頼りにしています。」 その言葉を聞いて、松平常務は、泣きながら答えた。 「勿体無いお言葉!有り難き幸せです。」 晴彦はその言葉を聞いて、いきなり笑い出した。 「ハハハ。俺達大河ドラマの人とみたいですね。」 すると晴彦は、鋭い目で真面目にこう言った 「もしかすると大河ドラマの様になるかも知れません」 すると松平常務は、驚きもせずに答えた。 「その言葉を3年間も待っていました。計画も既に進行中です。」 晴彦は、けして一人では無かったのだ。 今度は晴彦が涙を流して言った。 「今日は飲みに行きますか?仕事も片付けたし珍しく早く帰れます。是非息子さんも連れて来てくださいね」 「何故息子も一緒になんですか?」 「それは彼がプロボクサーだからですよ。雑誌に出ていましたよ。サインを貰わないといけ無いですよ。世界を取る前に、ハハハ!」 「分かりました。連れて行きます。では終業時間にまた来ます」
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