千夜から向日へ

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「どうだ?! ロビン綺麗になっただろ!?」 ジローが得意気に歌いながらステップを刻んでいる。 そのままエアギターに変わり、 ロックに変わり、 ヘビメタに変わり、 最終的にはデスメタに変わり… グギッ…! 死んだな。 いつまでも狂喜乱舞してるからだ。 ため息を吐きながらロビンは首を直していた。 その時俺の部屋のドアが勢いよく開いた。 「お兄ちゃん!! 遊んで~!」 「渚!!ちょっと待てって!!」 「ダ~イブ~」 ドスン。 制止を遮り、鈍い音が部屋に響き渡る。 もっと小さい頃は良かったがさすがに小学三年生のダイブはこたえる。 しかも朝から葵に二回も瀕死状態にされてるしな… 「あっ!! ジローちゃん!!」 「げっ!!」 逃げようとしていたジローだったが渚に見つかり、捕まった。 「わぁ~いい匂いがする~」 渚はジローをクルクル回し始めた。 「ギャ~!!リト助けてぇ~」 知らん。 地面に下ろされたジロー…真横にフラつきながら歩き始めた。 「見てみて~リト!!千鳥足!!」 余裕じゃねぇか。 「キャハハ~ジロー面白い!!」 小学生のパワーってすごいよな…。 渚は葵の妹だ。 葵と同じで色白、片方の頭をゴムで結んでいる。 大きな瞳からは好奇心からくる輝きで溢れ、見るからに活発なのが伺える。 葵の妹ということはつまり、俺の義理の妹に当たる訳だ。 ちなみに葵と俺は同い年で、葵は1月生まれ。 俺は9月生まれだから俺は葵の兄という事になる。 「あんたが兄さんだなんて絶対認めないから!」 って前言われたけどな。 「あはは~リト? 世界がぐるぐる回ってるよ~なんか気持ち良くなってきた~」 そうか…そのまま昇天しろ。 ジローが前脚を天高く振り上げ、某漫画の世紀末覇者の真似をする。 「我が天命。一片の悔いなぁし!!」 はいはい。
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