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「ぐすっ…ぐす…」
泣き続ける左藤さんと俺達は猫の亡骸をダンボールに入れ左藤家へと向かった。
一軒家で綺麗な上
なかなか大きい佇まいだ
その広い庭の花壇の隅にリト(猫)を埋葬した。
「リト君…葵さん…どうもありがとう…」
「ごめんなさい…手伝わせちゃって…」
「いいんだ…この子、左藤さんに死ぬ間際まで感謝してたよ?」
「とっても可愛いがってたんだね…」
「…うん…」
左藤はまた涙を浮かべる。
「まだ…2歳だったのに…」
嗚咽をあげ左藤さんは泣き出す。
え…?
左藤さんは俺に近付いて胸に顔をうずめ、泣き続けた。
さすがに左藤さん程の女の子に抱きつかれるのはびっくりするな…。
俺は彼女の肩ほどまである髪を撫でた。
「また生まれ変わってから出逢えるさ」
「あんなに可愛がっていたんだから、きっと」
生まれ変わり? そんなの今はまだ…信じてなどいなかった。
「ありがとう…やっぱりリト君は優しいね…」
「………」
「ごめんなさい…もう大丈夫ですから…また明日学校で…」
彼女は精一杯の笑顔を見せた。
その間、葵はずっと黙り込んで、睨みつけるようなしかめ面をしていた。
そして、左藤家を後にした。
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