猫の声

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「なに?! あの子!?」 左藤家を出るなり、後ろを振り返りながら葵が叫ぶように言った。 なんだ……? 「いきなりあんたの胸で泣き始めちゃってさ、どういう神経してるのかしら?!」 WHY……?何故?? 今はそっちを普通、言うか?? 「普通言うわよ!! あんたあの子と仲良いんだ??」 「別に、少し話した事があるくらいだ」 「お前も同じクラスなんだから、仲良くないのか??」 「良くないわよ! いつも教室の隅で小説読んでるような子じゃない!? あたしとは気が合いそうにないわ」 確かにそうだな。 活発なお前とは気が合いそうにない。 左藤さんとは中学の時から同じクラスだったが、あまり話した事もなかった。 大人しい子で、印象は薄かったのだが、ふんわりとした笑顔が可愛い女の子だった。 「それにあんたと同じ名前を猫に付けるなんてどうかしてるわ」 それだけは同感だった。あの猫が2歳ならばその頃から俺の事を知っていたはずなのにな。 「…それで? あんたあたしに話さなきゃならない事があるでしょ?」 「…あ~お前のアイスジローが食べちまった」 「ふっざけんな!!」 ドガッ!! 蹴られた。 「普通蹴るか!?」 「普通蹴るわよ!!」 そうなのか…?? いや、葵は決して普通じゃねぇ。 「もう、いいわ! 無理矢理買い物に誘っといて!!」 あれ? 俺、誘ったっけ?? いや、葵が無理矢理付いて来たんだろ?? 「うるさいわ! あたしもう帰るから!」 「あんたはあたしの分もアイス買ってくるのよ?? いいわね!?」 頼むというより、命令口調で葵は言い放ち去っていった。 帰ったらちゃんと話さなきゃいけないな…。
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