43人が本棚に入れています
本棚に追加
「なに?! あの子!?」
左藤家を出るなり、後ろを振り返りながら葵が叫ぶように言った。
なんだ……?
「いきなりあんたの胸で泣き始めちゃってさ、どういう神経してるのかしら?!」
WHY……?何故??
今はそっちを普通、言うか??
「普通言うわよ!! あんたあの子と仲良いんだ??」
「別に、少し話した事があるくらいだ」
「お前も同じクラスなんだから、仲良くないのか??」
「良くないわよ! いつも教室の隅で小説読んでるような子じゃない!? あたしとは気が合いそうにないわ」
確かにそうだな。
活発なお前とは気が合いそうにない。
左藤さんとは中学の時から同じクラスだったが、あまり話した事もなかった。
大人しい子で、印象は薄かったのだが、ふんわりとした笑顔が可愛い女の子だった。
「それにあんたと同じ名前を猫に付けるなんてどうかしてるわ」
それだけは同感だった。あの猫が2歳ならばその頃から俺の事を知っていたはずなのにな。
「…それで? あんたあたしに話さなきゃならない事があるでしょ?」
「…あ~お前のアイスジローが食べちまった」
「ふっざけんな!!」
ドガッ!!
蹴られた。
「普通蹴るか!?」
「普通蹴るわよ!!」
そうなのか…??
いや、葵は決して普通じゃねぇ。
「もう、いいわ! 無理矢理買い物に誘っといて!!」
あれ? 俺、誘ったっけ??
いや、葵が無理矢理付いて来たんだろ??
「うるさいわ! あたしもう帰るから!」
「あんたはあたしの分もアイス買ってくるのよ?? いいわね!?」
頼むというより、命令口調で葵は言い放ち去っていった。
帰ったらちゃんと話さなきゃいけないな…。
最初のコメントを投稿しよう!