猫の声

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俺はコンビニでアイスを5本買うと、来た道を引き返して行った。 周りをなんとなく見渡してみる…今住んでいる神楽田町は、どちらかといえば田舎に近くたくさんの自然が残っている町だ。 遠くの山々が暑い太陽の光を浴びて輝いていた。 ミーンミンミンミーン…。 蝉が未だに狂うように鳴き続けて、秋茜が空を飛び回っている もうすぐ秋がくるな…。 父さん…母さん… 俺の人生…2人が居ない時間の方がもうすっかり長くなっちゃったよ? もし…あの時…。 「…グルルル」 えっ? 何だ? 「…殺してやる…クルセルト…奪う…」 身の毛のよだつような声に慌てて振り返る。 しかし、そこには何も変わった光景などなく、小学生数人が、楽しそうに自転車で川へ魚釣りへ向かっている所だった。 ボケたかな~? 痴呆かな? なんてな、まだ早え~よ。 多分…。 「ただいま~」 「リトぉ~!! 会いたかったぜぇ~!!」 玄関のドアを開けるなり、声を裏返らせてジローが泣きながら走って飛びついてきた。 「何だよその格好…!?」 ジローは可愛らしいレースのドレスに身を包み頭にはリボンが付けられていた。 「あら~ジローちゃんそんな趣味があったのねん」 あからさまに引きながら俺は言い放つ。 「ふざけんなぁ~! …渚に捕まってこんな格好に…」 しくしくとジローは泣いた。 「…似合ってるぞ」 「ファ゛ァァック!!」 ジローは愛らしい姿で怒っている。
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