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「オイラ人間不信になりそうだよ」
一階へ降りる途中ジローが泣きながら前脚で両目をこすりながら言った。
うるせぇな。
一階へ降りると葵の両親が台所に座っていた。
「おはようリトちゃん」
千夏おばさんが優しい笑顔で挨拶してくれた。
千夏おばさんは歳の割には肌も綺麗でとても若く見える。葵と同じで身長は小さいが…。
「おっ! やっと起きたか小僧」
「おはようございます。おじさん、おばさん」
おじさんも歳の割には若く見え、好奇心旺盛な瞳はいつも少年のようにギラギラと輝いてた。
身長は割と高くすらっとした体付きをしている。身長に関してはおばさんの遺伝子が濃く、子供には遺伝しなかったようだ。
おばさんが俺と葵に座って、と椅子を指差す。
俺の挨拶を聞くとおじさんは睨むような顔を見せた。
「おい。小僧! いい加減俺の事はお父さんと呼べ」
「ごめんなさい。おじさん」
「じゃあお父様」
「もっと無理です」
「じゃあパパりん」
「パパりん」
「く゛お゛ぉぉお!! 止めろォ! 虫ずが走る!!」
どっちだよ。
おじさんは背中を必死に掻きむしった。
「うるさいわね」
葵が椅子に座ったので俺も椅子を引き座った。
その時引いた椅子を更にジローが後ろに引こうとしたのでどつくのも忘れなかった。
「なにすんじゃ~!」
こっちのセリフじゃボケ。
「俺をパパりんと呼んでいいのは我が愛娘達だけだ。…なぁ? 葵、遠慮なく呼んでみろ」
「フナムシ」
「うお゛ー!!」
おじさんはまた絶叫した!
「…父親を虫けら扱いするとはさすが我が娘」
「…おじさん顔から色んな水分出てますよ?」
おじさんは床に気を付けの姿勢でうつ伏せに倒れて泣いていた。
「…まぁ聞け小僧」
おじさんは涙を拭い、再び椅子に腰掛ける。
「想像してみろ。お前は将来、曲がりなりにも人型を保った奥さんが出来て、娘も出来たとする」
何か言葉の節々が引っかかるがとりあえず頷いた。
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