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圭吾と出会ってもうすぐ1年になる2月の中旬、勇気を出して訊いた。
「圭吾さ、」
「ん?」
「…好きな人とか、気になる人いる?」
「ん~…秘密っ‼」
がくっ
「えぇ~っ⁉何それっ⁉いるのっ⁉いないのっ⁉」
「だから秘密だって秘密‼」
「えぇ~…」
『これじゃ意味無いんだって…』
「…じゃ~1コだけっ‼」
「1コ…?」
『何それ?』
「気になるっつ~か…好きかも?って人はいるよ。」
ただでさえ大きかった不安が何十倍にもなった。
放課後の掃除の後、教室には2人だけだったから、負担は少なかったけど。
圭吾は誰にも言うなよ、と念を押して先に帰った。
誰もいない教室で、私は1人、溢れる涙が止まるのを待った。
その後は『いつも通り』。ちゃんと圭吾の『友達』でいられる様に、涙を流さない様、『いつも通り』を頑張った。
2年に進級して、圭吾と同じクラスになれたのはとても嬉しかったけど、同時に苦しくも思えた。
そして私は、季節が春と呼べるうちに圭吾に告白した。
「圭吾…っ」
「ん?」
圭吾はいつもの笑顔を私に向けた。
足がすくむ。涙が溢れる。
「えっ⁉ど~したっ⁉俺何かしたっ⁉」
「っ――違っ…違う…」
「~~とにかくど~した?言ってみ?」
圭吾が私の頭にポンッと優しく手を置いた。
「…き」
「ん?」
「っ…ぁたしっ…圭吾の事っ…好きですっ…‼」
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