1人が本棚に入れています
本棚に追加
「沙都…」
「ん?」
圭吾が言葉を継ぐのを一瞬ためらった。
嫌な予感がした。
予感は当たっていた。
「俺らやっぱ別れよう。」
「っ…何で…?高校違うだけじゃん‼場所だってそんな遠くな…」
「そんなんじゃない‼っ…ただ、きっとそのうち気持ちが遠くなる。もし会える時間が少なくなってずっと不安なままは嫌だろ?…心配とか不安とか…そんな気持ちにさせたくないんだ…」
圭吾の気持ちも凄く痛い程よくわかった。
私だって圭吾をそんな気持ちにさせたくない。
「…うん。今までありがとう。圭吾の事好きだよ。今まで圭吾がくれた物…全部ずっと大事な宝物だよ…いつか会った時も…せめて『友達』でいてね。」
「当たり前だろ。…高校(あっち)でも沙都なら良い人見付かるよ…ごめんな。」
これからの為に、何よりも圭吾の為に私は涙を流したく無かった。
でも心はやっぱり体を縛り付ける事を許してくれなかった。
頬を伝う雫が止まらなかった。
「いいの。きっとこ~なるって思ってた。圭吾も友達増やしたり、彼女作ったり…新しい思い出作ってよ?…いつかメールとか会った時とか…聞かせてね。」
圭吾がポンッと私の頭に優しく手を置いた。
懐かしいあの日の様に。
「あぁ…。そろそろ帰るか。」
「そだね。」
帰り道は2人共あまり喋れなかった。
私も圭吾もきっと複雑な気持ちでいたのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!