彼との思い出

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「沙都…」 「ん?」 圭吾が言葉を継ぐのを一瞬ためらった。 嫌な予感がした。 予感は当たっていた。 「俺らやっぱ別れよう。」 「っ…何で…?高校違うだけじゃん‼場所だってそんな遠くな…」 「そんなんじゃない‼っ…ただ、きっとそのうち気持ちが遠くなる。もし会える時間が少なくなってずっと不安なままは嫌だろ?…心配とか不安とか…そんな気持ちにさせたくないんだ…」 圭吾の気持ちも凄く痛い程よくわかった。 私だって圭吾をそんな気持ちにさせたくない。 「…うん。今までありがとう。圭吾の事好きだよ。今まで圭吾がくれた物…全部ずっと大事な宝物だよ…いつか会った時も…せめて『友達』でいてね。」 「当たり前だろ。…高校(あっち)でも沙都なら良い人見付かるよ…ごめんな。」 これからの為に、何よりも圭吾の為に私は涙を流したく無かった。 でも心はやっぱり体を縛り付ける事を許してくれなかった。 頬を伝う雫が止まらなかった。 「いいの。きっとこ~なるって思ってた。圭吾も友達増やしたり、彼女作ったり…新しい思い出作ってよ?…いつかメールとか会った時とか…聞かせてね。」 圭吾がポンッと私の頭に優しく手を置いた。 懐かしいあの日の様に。 「あぁ…。そろそろ帰るか。」 「そだね。」 帰り道は2人共あまり喋れなかった。 私も圭吾もきっと複雑な気持ちでいたのだろう。
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