クラスメート

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入学式、翌日のテスト、その全てが終わった今日、私は圭吾の時の後遺症か、男子となかなか上手く喋れなかった。 「沙都また暗かったよ~💦」 この子は元中からの友達の大重結菜(オオシゲユイナ)。 この高校に一緒に入学した大切な友達。 中1からの友達なのでもちろん圭吾との事もかなり知っている。 「う~ん…男子とはなかなか上手く喋れないんだよね…」 「このまま男嫌いとかならないでよ⁉」 「それは大丈夫だと思うけど…💦」 ただ何故か上手く喋れないだけで話したくないなんて気は全く無い。 不意に圭吾の顔が浮かんで来た。 それと同時に始業のベルが鳴った。 「うわっ‼も~10分経った⁉じゃ席戻るね💦」 「うん。」 教室に教師がテキストを抱えて入って来る。普段通りの授業が始まる。 「ぁ…日々野さん、消しゴム取ってくれない?」 隣の男子が私の机の下に消しゴムを落としていた。 「ぇ…あっ、…はい…」 消しゴムを取って机に置いた。 「…どうも…」 「…いえ…」 私は無意識に顔を向けないまま、小さい声で喋っていた。 そして無意識に圭吾の顔が浮かび、目に涙が溜まっていた。 「…泣いてる?」 「えっ?」 私は彼が私の顔を覗き込む様に見ていたのに気付かなかった。 「…っあぁごめん‼…いや、何か下向いてんなと思って…ど~かした?」 「何でも無い…心配させた…かな?ごめん…」 「えぇっ⁉そこで謝る⁉」 「っ~」 私は自分でも気付かないうちに抵抗無く喋っていた。 男子と喋って笑ったり出来ると思っていなかった。 少なくともたった3日で。 でも何故か安心した。
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