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努めて明るく言おうとするが、自然と涙が出てきてしまった。慌てて笑顔を取り繕おうとするが、うまくできない。
「子供を売ればお金も入るし、育てるための費用も浮くからさ、仕方ないんだよね。仕方ないんだよ…」
「もういい。おあや、おあやはまだ子供なんだから、わからなくていい。無理にわかろうとしなくてもいいんだよ。あんな理不尽なこと…ね?」
そう言うと、こう兄ちゃんは優しく抱き締めてくれた。
温かくて、余計に涙が止まらなくなる。
「うっ…うぇっ……かった…怖かったよう…ひっく…怖かった…よ…」
「うん、怖かったな。でも大丈夫。大丈夫だから、な」
「ごめんね?こう兄ちゃん…ありがとう」
どのくらい泣いただろう。あたしは手で涙を拭いながらお礼を言った。
時間をとらせてしまった謝罪も混ざってるけれど。
「気にすんな」
突然こう兄ちゃんにクシャッと頭をなでられて、あたしは嬉しいような恥ずかしいような、変な気持ちになった。
「あ!そうだお遣い!」
誤魔化すようにそう言って、あたしはこう兄ちゃんから離れた。
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