エピローグ

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「離れてくねー」 千代は少しずつ、離れて行く墓守島を貴と並びながら見ている。鮎川はもちろん、船酔いでダウンだ。豊田は岸辺と話している。相川達とは船着き場で別れた。木皮は「また遊びに来てね」と泣きそうな笑みをしながら言っていた。 「そういやさ、川上さんの遺体は?」 「生まれ育ったところの墓に埋葬されるそうだ」 「そっか……。 そういやさ、貴って私の為に静と豊田さんの近くにいろって言ってたよね?」 貴は千代を一瞥してから、ああ。と答えた。 「逆に静達にも私の傍にいといてくれって言ったんでしょ? あれはなんで?」 「面倒だから」 「はっ?」 「お前にウロチョロされると面倒なんだ。この前なんか幽霊にさらわれたりしたし……お前が一人で行動するとろくなことがない」 「なっ、なな…」 千代は貴に向け、足を振った。だがそれを貴はすんでの所でかわし、千代の脇を通る。その時にそっと千代に言った。 「体を鍛えるより頭の中を鍛えた方が良いと思うが?」 貴はそう嘲るような笑みを浮かべて、船長室の方へ行った。 千代は呆れ半分にため息をついた。貴は自分の為にやってくれたのではないのか。と残念な気持ちでどんどん離れていく島を見る。 「さよなら、墓守島…」 さよなら、春子ちゃん。 波に揺られる船の揺れに身を任せながらそう呟いた。 島はなおも遠ざかっている。千代はその島の全てを見届け、目をつぶり、島のこれからのことについて考えた。 ―――明るい島になるだろう。 千代の真上を通る太陽は強く、島を、千代を照らしていた。 FIN
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