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────…カンカンカンッ
涼しい風を受けて、真っ暗な空の下、階段を駆け上がる。
夜の屋上から見える景色には、月も星もなくて、分厚い黒い雲がボンヤリと浮かんでいた。
「はぁっ…はぁ……っ」
呼吸もままならない状態で薄暗闇の中しゃがみ込む。
夜の支配するこの世界で、見付けた唯一の光は、今は何処に在るのだろう。
ふとそんな事を考えた。
そういえば最近見てなかったな……なんて。
いっつもいきなり現れて
─────…カンカンカンカンカンカンッ
毎日私の側から離れなくて
「居たぞっ!!」
私が嫌な顔したって変わらぬ笑顔を向けてきて
「今度こそ逃がすな」
最初はムカついてただけだったけど……
「もう既に抵抗は殆ど出来ないハズだ」
いつの間にかアンタが側に居る事に安心してた。
…なのに、どうして…
─────…バァンッ!…
逢いたい時に、アンタは居ない
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