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「ねぇ、五年後私たちはどうしているかしら?」
「先のことは分からないけど…」
「そうね…」
彼女は一瞬悲しげな表情を浮かべた後、僕の両目を彼女の両手でふさいだ。
目の前が真っ暗になり、一瞬の闇が僕を覆った後、その先には彼女がまばゆいばかりの光に包まれて穏やかな表情を浮かべているのが、僕の目の前にぼんやりと浮かんだ。
五年後のあるべき未来…。
それはきっと彼女のいる未来だった…。
今思えば、どうして僕はあの時見えていた情景を言葉にしなかったのだろうか。
僕は後悔していた。
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