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少年は雨の中で逃げた子犬を待っている
傘の意味は無い程に足元は泥だらけ
愛犬の帰りを待ち続けて悴んでる
冷えた指先は千切れそう
一人、暗く冷たく孤独に向かって居る
虚しくも期待しているのだ
最後には我が胸にすり寄ってくれる事を
其れが儚い理想だとしても
少年には待つ事しか出来ないのだ
明日こそは帰って来てくれるだろうか
抱擁を要してくれるだろうかと
ひたすら泣いてうずくまっている
あの脱走は実は夢で
朝になれば子犬が頬を舐めて起こしてくれるのではと淡く悲しい期待を胸に
少年は絶望と共に本当の夢に落ちる
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