―第一章 朔詠閉話― Ⅱ

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「それにしても驚異的な回復力ですね。  一度、死んで死後硬直までしたのにここまで体が自由に動くなんて」 「丈夫だけが取り柄なんで」 「気をつけた方がいいわよ、ミア。そこの超天才君にいつの間にか策略的に喰われているかも知れないから。  それとね、薫。貴方の思った通り、一度死んだことによって稀な例だけど、貴方の無窮もそれなりに強化されていると思うから良かったわね。  博士の改造実験は成功しましたとさ」  物騒な言葉と危ない発言を残して、聖子さんは病室を後にした。  それと、また人の心を無断で読んだのか……俺のプライバシーは何処(いずこ)へ?  病室―――なんの迷いも無く、自分で病室と言っていたがここが病室だと理解したのは紛れも無い今だった。  既に俺は未来を視ていたらしい。  なんというか……いつもながら『ツマラナイ』能力だ。 「それで薫さんは夜の食事は何を食べたいですか」 「基本的に好き嫌いないんで、なんでも良いです。あとミア……さんの方が年上なんだから俺なんて呼び捨てで構いませんよ」 「確か薫さんは17歳でしたよね? 私はこれでも16歳ですよ。だから、薫さんこそ私を呼び捨て構いません」
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