―第一章 朔詠閉話― Ⅱ

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 見た目的には、俺より二つか三つ上だと思ったが年下とは……外人っていうのは、幼い時は本当に幼いが、思春期を過ぎると突然、バリバリの大人になるから予想がつかない。  ま、アジア系の顔は童顔だしな。  俺だって、ヨーロッパ歩けば中学生料金で電車乗れるっての。ちなみにこれはマジな話だ。 「初対面から呼び捨ては遠慮しときますよ。そこまで、世間知らずでもないですし……ん、日本語話してますよね?」 「はい。私は日本語を出来ますので」  また、やってしまったようだ。  自分の呑気さに呆れる。  ここは窓の景色から考えて日本では無い事は明らかだ。 「悪い。今から英語で話すよ」  英語は苦手なのだが、しょうがないというやつだ。  こちらから話すのが礼儀という区分に俺の中では分類される。  まぁ、片言単語でどこまで通用するか見物だけどな。 「別に日本語で結構です。母方が日本人なものですから日本語も出来ますし、何よりこの言葉が好きですから」  微笑みながら話してくれるのは正直、嬉しい。  英語が流暢(りゅうちょう)に話せない分、ここは彼女の行為を素直に受け止めるとしよう。 「それで―――ここは何処だ?」
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