―第一章 朔詠閉話― Ⅱ

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「ミアさん。一つ用意して欲しい物があるんだけど?」 「なんですか?」 「―――――」 「それは……用意出来なくはないですけど……」 「頼む……」 「解りました。用意して見せます」  体に鞭を打って無理矢理立ち上がる。  体が悲鳴を挙げるが関係ない。  ミアの声が聞こえるが無視をし、眼を開ける。  その瞬間、膨大な情報量が頭に滝の様に流れてくる。  吐き気を気合でせき止める。  こんな所で止まってはいられない。  この眼に慣れなければ……いや、使いこなせるようにならなければだめだ。  昔はなんともなく使っていた能力だ。そう歩くのと同じ、ようは『慣れ』だ。  俺の主義は唯一つ―――守ると決めた者は全力で守る。  それが、男ってもんだろう……鞍馬薫。  待っていろ、存外ども……俺は理不尽な死神さえ許さない不条理な悪魔だ。  安心しろテメェら全員、俺が殺してやる……!
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