ー第一章 朔詠閉話― Ⅲ

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 今夜は誰を切り刻もう?  ケモノが吼える。  外ではなく、内に吼える。  体が砂時計の様に一刻一刻と地に堕ちる。  そう。この飢えを止めるすべは無い。  堕ちる。堕ちる。堕ちる。  ああ―――既にこの身は愚か心までも存外に成り下がっていたか……  故に『個』と言う私は存在しない。  そう。ここに存在するのは『喰らう』と言う理念のみ。  ならばこの身を滅ぼす魔を静かに望もう……
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