ー第一章 朔詠閉話― Ⅲ

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「そうね。私らしくない……わね。それじゃ、その本拠地が何処に在るか教えてくれない?」 「皇帝様のご命令と在らば」  『にやり』と笑う。  うん。やはりこの子は小悪魔的存在が似合っている。 「今までの犯罪経路から……ここをA地点とするとこのE地点まで犯罪が多発している。  その中で一番、事件が少ないB地点……ここを狙うと思うわ」 「確率的に60%って所かしら……捜しようが無いならそれしかないですけど」  二人で地図と睨みあうがこれだ、という対策が見当たらない。  こういう時に直感で動く人間が役に立つのだが、ベリーも私も計算で動く人間なのでハッキリ言って壁にぶち当たっている。 「古典的な方法だけどやっぱり夜中の捜索が一番効果的ね」 「そうね……見つけた瞬間に薙ぎ払う。これが一番のようだし」 「それにしても……人が全くいないわね。いくら休みだからと言ってもこれは尋常じゃないと思うわ」  その考えは同意だ。  部活に参加する生徒は愚か教員まで姿が見えないのだ。 「一応、学園内を回ってみましょう」  ゆっくりと一つ、一つ、園内を隈なく回る。  『シーン』と全く音がしないと言うのも不気味だ。
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