655人が本棚に入れています
本棚に追加
「言っていませんでしたか? 私は千堂美羽様という方にお仕えしているメイドですって?」
思わず、口に含んでいたジュースを噴水のように勢い良く噴出してしまった。
「大丈夫ですか? はい、ハンカチです」
吹き出してしまったジュースで汚れた口元をハンカチで拭く。
「そういう事は早く言って欲しいな……。ま、そんなことも言ってたような気もしないではないけど……」
まぁ、美羽を捜す手間が省けて良しとしよう。
何事も前向きに考えて行くのが謎解きのようで楽しい。
その点でこの眼は俺には必要ない物だ。この目はこの先何が待ち受けているか解ってしまう。
つまり、テスト前日にテストの内容が解ってしまったり、見知らぬ誰かが何処で転んでしまうのかが解るって言う事だ。
もっと深いモノを視るならば、誰が何処でどうして死ぬかさえ視える。
それがその人の『生』なのだ。
何処かで切れてしまう道……それを俺は視る事が出来る。
だけど、俺は正義の為にこの眼を使おうとは思わない。
その『生』を変えると言う事は少なからず、俺に責任が問われる。
それは当然の結果だ。
最初のコメントを投稿しよう!