655人が本棚に入れています
本棚に追加
ー第一章 朔詠閉話ー Ⅰ
嗚呼、俺は死んだのか。
それがただ一つ俺が感じた感情だった。
勝った。勝っていたはず。俺には俺が勝つ未来が視えていた。
それで負けたと言うならば、それは―――俺がこの眼を使いこなせていなかった、と言う事実。
そして感じた。
嗚呼、死トイウノハコンナニモナニモ……何モ無イノカ。
虚無。
ソレガ『死』トイウ恐怖ソノモノダト理解デキタ。
これは閉幕の物語だ。終りとは常に始まりに繋がり、始まりとは終りの後にやってくる。表裏一体の矛盾。これこそが世界の理だと言わんばかりの傲慢さ。
天地開闢の歴史は一旦終局を向かえ、俺は夜明けを視る為に俺の物語と歩き続ける。
―――俺にマヤカシは通用しない。さぁ、真(まこと)の現を俺に視せてくれ!
最初のコメントを投稿しよう!