ー第一章 朔詠閉話― Ⅲ

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「お知り合いだったんですねー。以外です」 「腐れ縁ってやつで納得してくれ」 「世界は狭いって言いますしね」 「世間は狭いじゃなかったっけ?」 「意外に細かいとこ気にするんですね……」 「こう言う性格なんで」  さて、まだ日は明るい、夜の乱舞の前にしばしの休息と行こうか。  ◆  『はぁ、はぁ、はぁ』、と息を切らす。  ベリーと背中合わせに座り込む。  服は千切れて、所々、素肌が見えている。  結局―――私に人は殺せなかった。  腕を焼き去り、足を消し去り、だけど―――命を獲る事は出来なかった。 「その弱さが貴女の良さなんだから、悔いに思わないで……。その弱さが貴女を貴女のまま保ってくれる」  ベリーの優しさが心に沁みる。  彼女は私にこちらの世界に来るな、と言っている。  その心の氷は私では溶かせない……。それが無性に頭に来る。 「ウルサイわね……。私は恐くない……。ちゃんと次は殺してみせる……」 「そう……。私は貴女の手を血で汚したくは無いのだけど……」  
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