絶対君を守ってみせる!

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  あーもー。 体育の後っていっつも遅くなるんだよなぁ。 俺はそう思いながら、廊下を走っていた。 昨日は先生に呼び出されて一緒に帰れなかったので、今日こそは!と思っていた。 ちなみに何故先生に呼び出されたかと言うと、先生に仕事を頼まれたからだ。 ほら、俺って優秀だし? 急いで片付けたんだけど、流石にみんないなかったし。 まあ…渡辺さんが待ってくれてるなんて、期待してなかったけど。 ちょっとショックだったなぁ…。 だから! 今日こそは一緒に帰るのさ! 一年八組の教室をパッと覗く。 が、そこには渡辺さんの姿は、どこにもなかった。 …あれー? 「ねぇ千香。渡辺さんは?もう帰ったの?」 「…えっ…あ…」 そこにいた千香に聞くが、何故か言葉を濁す。 俺は首を傾げた。 「ねー、誰か、渡辺さんがどこに行ったか知らない?」 「さ、さぁ…」 「もう帰ったんじゃ、ないですか?」 みんなの様子がなんかおかしい。 …そういえば、前にも何回かあったな。 こんなこと。 俺は近くの机を蹴り飛ばした。 中身がぶちまけ、大きな音を立てる。 みんなビクついていた。 「ねぇ…渡辺さんどこに行ったか、知らない?」 顔は笑顔だった。 声も、優しい口調。 が。 目は、笑っていなかった。 『…さ、三年の先輩が来て、いきなり…渡辺さんを…場所は言ってなかった、けど…多分、屋上かと…』 『わ、私達、口止めされてて…!』 はー…。 だから女は平等に愛さなきゃなんないんだよ。 こーゆー陰湿な手に出るからさぁ。 俺は息を切らしつつ、屋上の階段を駆け上がっていた。 が、ドアノブに手をかけた瞬間、止まった。
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