144024人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺、本気なの。んで、無理矢理ヤるのは出来ない。だから君に、俺を好きになって欲しいんだ。
そのためなら、なんだってするよ」
「そうですか。それは楽しみですね」
渡辺さんは椅子から立ち上がり、携帯を床に置いた。
そして椅子を持ち上げ…
バキィッッ!!
…へっ…。
「それでは私はこれで失礼します。さようなら」
渡辺さんは鞄を持ち、教室を出ていった。
俺は無惨に粉々に砕けた携帯を見て、へなへなと座り込んだ。
ちなみに全部、最近出たばかりの最新機種だ。
…。
「…ふっ…ふっふっふ…」
教室にいた全員が、青ざめている。
でも今は、そんなことなど全く気にならない。
「…ぜってーあいつの処女膜ぶち抜いてやらぁあああ!!」
俺は、半泣き状態になっていた。
「ふーん。それで今日は優等生なんだ?」
「そうなんだよ」
俺は親友である、柴田 蒼(シバタ ソウ)と喋りながら登校していた。
蒼はポッキーを食いながら俺を見る。
アクセもなく、制服をきちっと着こなし、髪は真っ黒、カラコンだって入ってない。
ネクタイだってちゃんと締めてるし、女の子からの誘いも全部断った。
そう、全ては渡辺さんを抱くために!
蒼はぽりぽりとポッキーを食べる。
「なーんかさ。珍しいよね」
「あ?」
「優が一人の女の子のために、そこまでするなんてさ」
「まあ、言われてみればそうだな」
蒼はポッキーを食べる手を止め、こっちを向いた。
俺と同じくらいの身長で、髪と目は青。
死んだような目をした蒼の目が、真っ直ぐに俺を見ていた。
「本気になるよ」
「何が?」
「その子のこと」
俺は、きょとんとした。
最初のコメントを投稿しよう!