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「…誰?」
「えぇえええ!?」
渡辺さんとこに行き、おはよー!と声をかけた瞬間、そんな返事が返ってきた。
俺はわなわなと震える。
「昨日!君が!言ったから!俺は!こんな風に!なっ・た・ん・だよ!!」
「…ああ、香山先輩」
渡辺さんはふと思い出したようにそう言った。
俺はがっくりとうなだれる。
前途多なーん…。
そして前代未もーん…。
今までに俺を忘れた女がいただろうか!?
いやいない!
こんな美形を忘れるわけない!!
忘れっぽいおばあちゃんも忘れないね!!
「で、何か用ですか」
「君に俺が頑張ってるってことを知ってほしくてね!」
「…どこらへんが?」
「全部!全部!」
この格好を見てわからないのか!?
「それに、女の子とも縁は切ったよ。現に今、君だけの前にいる。
だからー」
「遊びません」
「なんで!?まだ何かあんの!?」
これ以上どうすんの!?
不細工になれとか!?
無理だろ!
「たった一日では証明されたことになりませんから」
「じゃあ…いつまで?」
「そんなことを考えてる間はまずありえません」
…。
…マジかよ…。
俺はより一層うなだれる。
渡辺さんの机を掴んで屈んでいた。
「…俺さー…今日朝会った女の子に、俺じゃないって言われたんだよねー…。
それくらい似合わないんだよ、こんなカッコ。自分でもわかってるし…。
でも、君だけのためにやってんのは、わかってくれないかなぁ…」
「私を抱くために、でしょう」
「まぁそれはそうなんだけど…それも愛じゃないですか」
「そんな愛いりません」
「…どんな愛がほしーんですかぁー」
「純粋な愛です」
…。
…純粋?
ん?
んん?
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