3人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
日曜日。
僕は一週間前と同じ駅に来ていた。
啓太に連れられ、降りた駅だ。
記憶を辿って歩く。
改札を出て、確かこっち。
橋を渡って、あの赤い看板を左だ。
自然と足早になる。
一人で無事着けるのか?
一人で浮かないか?
「先週だって、十分浮いてた」
小さく呟く。
次は、確か……
あ、あのコンビニを右だ。
鼓動が早くなる。
もう少し。もう少し。
怖いくらい静かな遊歩道を横切って、
最後の角。
この郵便局を曲がると……!!
「…啓太」
ゴールのハコの入り口をふさぐように、啓太が腰を下ろし、片手にビールを持ったまま、タバコを吸っていた。
「やっぱり来たか」
大きな溜め息。
「お、お前こそっ!
来るんなら、一声掛けろよ!」
……はぁ。
また溜め息。
「近くにいいバーがあるんだ。
それからでも間に合うだろ?
付き合え」
最初のコメントを投稿しよう!