夜がくる

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啓太の少し後を歩く。 たったさっき、通ってきた道。 まるで帰るように、送られてるみたいだ。 「ここだよ」 さっき曲がった、コンビニの隣に、その扉はあった。 白い外壁に、真っ黒な扉。 来る時は気づかなかったが、扉には赤い小さな文字で 『heaven's door』 と書いてあった。 天国の扉を、重い気持ちで開けると、 驚いた。 赤い小さなシャンデリアが4つ。カウンターに並んで配置されている。 カウンターは黒。 椅子は赤。 なんてきっぱりした天国なんだ?! 「いらっしゃーい! あれ?ケイタ? 久しぶりじゃんっ! 友達? いらっしゃい。」 カウンターの中から、とても可愛らしい笑顔で、迎えてくれた。 明らかに年上の女の人。 「サエさん。ご無沙汰してます」 ぎこちなさそうに啓太が言う。 「何言ってんの! そんな気にしてないから。 さぁこっち座んなよ」 営業スマイルとは思えないくらいの、満面の笑み。 右腕、二の腕には、ドクロが笑っていた。
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