上手い話にゃ裏がある

7/7
前へ
/291ページ
次へ
宜しくお願いしますと言い残し、依頼人は出ていった。 う~ん…目の前の100万の札束を見ながら、少し冷静になってみる。 明らかにおかしい。 事務的な話し方。 演技っぽい心配の仕方。 既に用意された100万。 猫が逃げた場所。 何より、子供の様に可愛がってる猫に対して、「物」だの「アレ」だの言うのはどうか? しかし、理由はどうあれ、100万貰っちまったし。何か裏があるにしろ、猫だろ?何とかなるか! それに、成功すれば1000万!俺の借金全て払ってもお釣りくるぜ! 前向きに考え直して、出掛ける準備を… バタン! 「シン!今、客来てたわね!仕事?家賃払えるんでしょうね!あっ!札束!いくら?100万位?家賃とツケ先に払いなさいよ!」 大家!何て勘の良さだ!もう嗅ぎ付けるとは! サッサと札束を奪い取り、家賃とツケ分を札束から抜いていく…。止めてくれ~! 「はい!これ残りね。いつもこれくらい稼げるように頑張りなさいよ!んじゃ!」 バタン! 俺の100万は、嵐にほとんど吹き飛ばされ、残っているのは僅か10人の諭吉だけでした。 ちくしょう(泣)
/291ページ

最初のコメントを投稿しよう!

145人が本棚に入れています
本棚に追加