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宜しくお願いしますと言い残し、依頼人は出ていった。
う~ん…目の前の100万の札束を見ながら、少し冷静になってみる。
明らかにおかしい。
事務的な話し方。
演技っぽい心配の仕方。
既に用意された100万。
猫が逃げた場所。
何より、子供の様に可愛がってる猫に対して、「物」だの「アレ」だの言うのはどうか?
しかし、理由はどうあれ、100万貰っちまったし。何か裏があるにしろ、猫だろ?何とかなるか!
それに、成功すれば1000万!俺の借金全て払ってもお釣りくるぜ!
前向きに考え直して、出掛ける準備を…
バタン!
「シン!今、客来てたわね!仕事?家賃払えるんでしょうね!あっ!札束!いくら?100万位?家賃とツケ先に払いなさいよ!」
大家!何て勘の良さだ!もう嗅ぎ付けるとは!
サッサと札束を奪い取り、家賃とツケ分を札束から抜いていく…。止めてくれ~!
「はい!これ残りね。いつもこれくらい稼げるように頑張りなさいよ!んじゃ!」
バタン!
俺の100万は、嵐にほとんど吹き飛ばされ、残っているのは僅か10人の諭吉だけでした。
ちくしょう(泣)
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