✨母のお弁当✨

高校生だった頃母が毎日お弁当を作っていた。母は昔から体が悪くて、それが理由か知らないがお世辞にもおいしいとは言えないこと、質素で見栄えが悪いお弁当なんてダサいと思っていたこともあり、毎日学食へ行き、お弁当はごみ箱へ捨てていた。
ある朝なにもしらない母が嬉しそうに…
『今日は大好きな海老いれておいたよ』
と言ってきた。私は生返事でそのままガッコーへ行き、中身を確認した。確かに海老が入っていたが殻のむき方がめちゃくちゃだし形も悪かった。そのまま捨てた。家に帰ると母は私に…
『今日のお弁当どーだった？おいしかった？
』としつこく尋ねてきた。その時イライラしていたから…
『うるさいな！あんな汚い弁当捨てたよ！っーかおまえの弁当いつも捨ててるから』
と言ってしまった。母は悲しそうに…
『いままで気持ちわかってあげられなくてごめんね』
…と言い弁当を作らなくなった。それから半年後母は死んだ。私の知らない病気だった。母の遺品を整理していたら汚い字で書かれた日記がでてきた。弁当のことばかり書いていた
『手の震えが止まらずうまく卵が焼けない』
…日記はあの日で終わっていた。