一章

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「姫様、夕げの用意が整いました」  威厳のある、低い、よく通る男の声が部屋に響き渡った。 「うむ、客人もちょうど今起きられた。」 「かしこまりました。でわお着替えを…」 「わかった、参る」  そう言い彼女は立ち上がった。白と朱色の着物。その衣擦れの音が近づいてくる。 「立てるかや?」 「は、はい。」 ボクの上ずった声を聞いて、彼女は小さく頬笑んだ。「では待っておる。」  彼女はそう言い残し部屋を去っていった。
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