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城崎市
これが、僕が生まれてから今まで過ごしてきた街の名前。
街の中心には城跡があって、ここは昔から城下町として栄えていたらしい。
どちらかというと都会にあたるのか、人口や交通網がしっかりしていたりする。
僕は、この街が好きだ。都会とはいえ、まだ緑が残ってるし人情溢れる下町だってある。チビのときはよく走り回って、みんなに知れてたか。
確かに不便なところもある。っても、深夜枠のアニメが見れなかったりだが。
両親の顔は覚えてない。
何故って?チビのときに僕を施設に預けた二人に聞いてくれ。
結局今では、里親に養子としてひきとられている。まあ、その里親が出張だの何だので家を開けてることが多いから半ば一人暮らしなんだが。
いま、僕が丁度眺めている街には、大勢の人が生活していたりする。一人ひとりが点になって、その間を色々な感情で線を作っている。
待てよ?
俺って……神様なんだよな?
だったらこの街も思いのままなんじゃ……
「でも、どうするつもりですかぁ?」
と、微妙に間延びした死神の声が僕の耳を通る。
その声は、意外にも
「神様の力を使うにしても、それなりの既成事実と行使後の処理も必要になりますよ?」
後ろから聞こえてきた。
「ちょ、どっから生えてきた!?」
「人を植物みたいに言わないでくださいよぉ」
この光景を、他人が見たら困惑することだろう。
かたや普通の人間。これはわかる。
しかし、もう片方は翼が生え、大鎌を携えた女性なのだから。
だが――。
「よう、久し振りだなクラン」
…………
「…………は?」
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