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「クラン……って、は? 一体どういうことだよ」
と、一人困惑気味に言う。いや、当たり前だろ?
翼の生えた人間じゃない死神が、どうしてこの世界の人間と関わりがあるのか……
「は、お前忘れたのかよ?」
「忘れたって……は?」
更に理解が難しい。
アキは一体何を言ってるのか、更にわからなかった。
「だから留学生だって。お前さん一番反応してたじゃねぇか」
「留学生?こいつが?」
言って、死神の顔を見る。そこにはいつものにっこり顔があった。
「ヨーロッパ辺りから来たらしいぜ。もちろん『クラン』ってのは愛称だけどな」
「は、はぁ……」
いや、しかし……
『こいつ』が人間?
「いや、羽根生えてんじゃん」
「向こうの国のファッションじゃねーの?」
「鎌持ってるし」
「それは護身用だろ」
「制服着てねぇじゃんか」
「は?」
「着てますよぉ」
死神は言うと、いつの間に着替えたのか、スカートをつまみ持ち、その場で一回転してみせた。
「ほら。似合いますかぁ?」
と、またにんまり。
てかこいつ、本当に死神なのか?
死神ったら、髑髏のマークが異様によく似合うようなキャラしか想像出来ない。
まあ、良いか。
それもそれで楽しいかも知れない。とにかく、俺は『神様』なんだ。しばらくの間充分楽しんでやろうじゃないか。
そう決心して、机の上に突っ伏した。
「んぁ、どうした?」
「寝る」
「せっかく早く来たのに寝ちまうのかよ、もっと青春を謳歌しよーぜ?」
と、いうアキの言葉。俺は……
このまま惰眠を貪ることにした。
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