初夜

3/3
前へ
/19ページ
次へ
 彼女の変な問いに、ぼくはしばらくキョトン顔で死神を見ていた。   「それは……どういう?」 「そのままの意味です。あ、でも貴方には選ぶ権利があります。3日後の運命を受け入れて神様になるのか、その運命に抵抗するか……」 「運命に……抵抗? な、何だよ。その選択肢があるなら先に――」   「その場合」    ぼくの言葉を遮って、彼女は続けた。   「わたしと3日間の鬼ごっこをしてもらいます」 「鬼……ごっこ?」 「貴方が逃げて、私が鬼。3日間私から逃れられれば貴方の勝ち。もし、私に捕まれば…………」    死神は口を止めた。  捕まれば…………?   「まあ、仮にも死『神』の私に勝てる訳がないんですがね」    彼女はぼくにはにかんで見せた。    どうせぼくは死ぬのか……?  だったら……。   「わかった」    ぼくはボソッと呟き、手を差し出した。   「その3日後の運命、受け入れてやるよ」 「そうですか。いいでしょう」 「その代わり……その神様の力とやらを使って、一つ叶えたいことがあるんだが」 「?」    彼女は頭にはてなを浮かべ、ぼくの返答を待っている。  意を決して、ぼくは言った。   「その3日間、君はぼくの彼女になる……ってのは?」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加