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あれは、やけに蝉の声がうるさい真夏の午後だった。
4つ年上の姉と2人で、いつものように家の近くの○○センターへ愛用の自転車で向かった。
○○センターは県の施設らしい。広い駐車場があり、車の出入りも特になく安全な場所だった。近所に住む子供達の間では絶好の遊び場になっていた。
その日は特に暑かった為か、子供達の姿は私達以外にはない。私達は駐車場の熱いアスファルトに、チョークでロボットやお姫様の絵を描いたりして遊んだ。背中や額はむせ返るような暑さの為に、汗でびっしょりになっていた。
案の定暑さに耐え切れなくなったので、2人は早々にその場を去ることに。
――その生物の存在に気付いたのは、出入口の黒い門に向かっている時だった。
「………?」
私達の視線は、門の車輪が着いている下の方へ。遠くにいた時はスナック菓子の袋だと思っていたが、近づくにつれ、ソレが袋でないことに気付かされた。
「あれって……蝶々だよね?」
姉の引き攣った顔。
それもそのはず、目の前にいる蝶々は、小学生の常識を遥かに越す大きさだったのだ。
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