第2話:傘

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私は常日頃から、おっちょこちょいな性格の為にいつも母に叱られていた。 忘れ物は多かったし、貰ったばかりのお小遣を握り占めていた筈が、いつの間にか手から無くなっていたり。親から見たら将来が心配な子供だったそうだ。今でもたいして変わっていないのが、残念でならないと母は言う。 その日は朝からしとしとと冷たい雨が降っていたので、学校へ行くために傘を持って外へ出た。いつもよりかなり早い時間だ。その日に限って早く目が覚めてしまい、時計を見ると、いつも私が起きる時間の30分前だった。 私達の住んでいた地域は、近くに住む子供たちが集まって集団登校する班を作っていた。いつもみんなを待たせているし、たまには待ってみようと思い、早々に支度を済ませた。 「いってきまーす!」 手探りで傘を開こうとしたところ、傘を開くボタンがないことに気付いた。 「…………?」 手元を見る。 ……ホウキだった。 玄関を掃く、アレである。 相変わらず馬鹿だなぁと溜め息をついた。 「ただいまぁ」 言いながら玄関のドアを開ける。いちいち挨拶してしまうあたりが、実に律儀だ。中に入りホウキを立て掛け、傘を持って外へ出る。 「いってきまーす」 手探りで傘を開こうとする……が、また開かない。手元を見つめる。  「………!?」 ホウキだった。 また取ってどうする……。 信じられないだろうが、これを後に2、3回程繰り返した。もちろん母はカンカンだ。 「遅刻するでしょーが!?もぉ~あんたは――」 その時だ。
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