第2話:傘

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大きな衝撃音と共に、軽トラックが登校班の集合場所になっている隣の家の壁に突っ込んだ。 幸い班のメンバーは、その日に限って私以外にまだ家を出てはいなかった。みんなは寝坊したり、お腹を壊してトイレに篭ったりしていたそうだ。 私もホウキで足止めされていたために、この事故に巻き込まれる事はなかったのだった。 なんたる偶然。 なんたる幸運。 しかも、登校班全員なんて……。      *   *   * 後に分かったが、トラック運転手は居眠り運転をしていたようだ。軽傷で済んだものの、危うく惨事になるところだった。 もしも、私が傘とホウキを何度も間違えなかったら……? そう思うと、今でも鳥肌が立つ。
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