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「五十嵐~!!」
バッシュを履いていると、佐藤がおれの名前を読んだ。
「何?」
「練習しないんだったら女子にコート貸してよ」
「はあ~!?」
「ほら、一年なんかもう遊びじゃん。キャプテンなら注意ぐらいしてよ!!」
そう、昔から人をまとめることがあまり得意でないこの俺が、なぜか男子のキャプテンなのだ。
「わかったわかった、バッシュ履いたら注意するからちょっと待てって」
「まったく、五十嵐がいつもしっかりまとめないからいつまでたっても弱っちくて一回戦負けなんだよ」
「うっ…」
いつも同じようなやり取りをしているが、返す言葉が見つからない。女子は、佐藤がチームをまとめるようになってからは特に強くなり、県内でもレベルは上のほうにあるのに、男子はいつも初戦敗退という情けない結果に終わっているのだ。
チームを立派に引っ張っていっている佐藤と、人をまとめることにも苦労する俺。キャプテンとしての力の差は、比を見るよりも明らかだった。
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