降下作戦

16/114
25843人が本棚に入れています
本棚に追加
/904ページ
 少尉とは角度を変えて後退。射線を交差させる。動きの鈍いインスマウス共は次々倒れていく。掃射戦の方が楽だな、やっぱり。  俺は少尉の位置を確認しながら横に走って合流。『いいウォームアップになったろ? お前ら相手の模擬戦じゃあ、ああはいかねえからな。後衛のアンナとショーンが前方の群と交戦している。俺達は合流せず、西に回り込んで十字砲火を形成すんぞ! しっかりついてこいよ!』言うなり少尉は駆け出した。 「了解!」マジかよ? 息も切らしてねぇ。俺は少尉の後につくのに必死。  普段、船の中じゃ大人しい少尉だが、戦場じゃ別人みたいだ。いつもながらなんだか悔しい。荒げた呼吸を隠したい。ささやかながら男のプライド。 『馬鹿野郎! 気取ってんじゃねぇぞ。しっかり息を吸い込め! 呼吸を整えておかねえと後でしんどくなるぞ。まだ作戦は始まったばかりだからな。バラけた中型が本当の相手だ、歩兵部隊に楽をさせてやらなきゃならん。』やれやれ。俺は肩を落として溜め息をついた。 『わかったかよ?』構わず少尉がたたみかける。「了解!」俺は半分ヤケクソ。ことさらデカい声で応答する。なんでもお見通しだ。『悔しかったら酒と煙草を止めるんだな!』ちぇっ! まったく、愛煙家は肩身が狭い。
/904ページ

最初のコメントを投稿しよう!