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ジャンプした俺の下を、横に薙ぐように大蛇の背中が通過するのを、俺は逆さまに観た。
「破っ!」
太刀を突き立てながら大蛇の背へと着地する。
強烈な慣性が俺を振り落とさんと作用するが、突き立てた太刀は深々と肉に喰い込んで、俺を支えてくれる。
膝を突いた姿勢から、太刀を引き抜きながらダッシュ。
ハルピュイアの羽毛に包まれた胴体、その背面へと駆け上がった。
強力な風圧。
激痛に耐えきれず巨大な翼をはためかせ、背中に飛び乗った俺を振り落とそうと躍起になっているようだ。
先程までは決して床に着ける事のなかった尾の部分、大蛇の鎌首は、最後の攻撃に力尽きたのか、ズルズルと音をたてて引きずられるままだ。
――チャキッ!
俺は、周囲を確認して太刀を構え直す。
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