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不思議な共鳴。太刀が震えている。凄えな。俺も震えた。
辺りを染めぬいた血煙。なのに刃には染み一つない。まるで暗闇に浮かぶ新月。光を湛え、氷のように冴え冴えと輝く怜悧。まるで朝露に濡れているかのようだ。
いや? 水が香った。俺の周囲を本物の霧が包んでいるのだ。まるで光の粒子。刃にも俺のコートにもだ。どこからか水が湧き立ち、それが霧を呼んでいる。
降り積もって珠の雫。汚れた血糊と脂を洗い流す。切れ味が落ちねー訳だ。俺は感嘆。吐息を漏らした。
――! 刃を転がる雫の珠。そこにハルピュイアの影が蠢く。映り込んだ異形がゆらりと立ち上がる。たいした生命力だ。思わず舌打ち。
太刀を振って霧を払う。風が獣臭を運ぶ。俺は背後の気配を辿った。
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