古代神降臨

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中型キメラと太刀で闘うなんて、なかなか得難い体験だ。 以前の俺なら震え上がっていただろうが、装甲騎兵部隊での経験と、躯の底から湧き上がる〈力〉が恐怖を忘れさせている。 ギィン! 鈍い金属音を立てて、青白い火花が散る。 テインダロスやドールタイプのように、ワイヤーのような堅い羽毛に守られているらしい。 ちっ! 筋力を何十倍にも増幅してくれる装甲機動騎兵を操っている訳じゃないから、簡単に切断できるとは思っちゃいないが、見た目よりも強固な羽毛から察するに、鱗で覆われた他の部位はもっと手強い筈だ。 突くしかねぇな。 何故か口元に笑みを浮かべて、俺は太刀を縦に構える。 堅牢な防備に対して、銃でなく太刀で立ち向かっていく自分が、滑稽に思えて仕方がないのだった。
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