古代神降臨

60/93
前へ
/904ページ
次へ
――ザブッ! 俺は渾身の力を込めて、羽毛の間に太刀を突き入れる。 金属音を響かせながら、深々と肉に沈む『鬼切丸』。 蒼黒い血飛沫が上がり、俺のコートを濡らしている。 「しゃあっ!」 気合いと共に太刀を引き抜くと、一際激しい血飛沫が宙を舞い、ハルピュイアの絶叫が鼓膜を震わせる。 ――次! 振り返った俺の視界に、ハルピュイアの脚が飛び込んでくる。 節くれだった関節。 鱗のような皮膚。 鉤状に鋭く曲がった爪。 ハルピュイアは、ナイフのように鋭利な鉤爪で俺をバラバラに引き裂こうと、翼をはためかせながら上から脚を振り下ろす。 ――! 俺は、無意識に下から太刀を跳ね上げる。 !!!!!!!!!!!!!! 再び響きわたる絶叫。 跳ね上げた太刀は、一瞬速くハルピュイアの脚に届いていた。 爪と爪の間、つまり節くれだった指の間に太刀が食い込み、骨の上で軋んでいる。
/904ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25845人が本棚に入れています
本棚に追加