古代神降臨

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しかし、顎の下は表皮と違って堅い鱗で守られている訳ではない。 細かい鱗。 うねるように動く白い腹。 俺は、太刀を上に突き上げて、顎の下を切り裂く。 降りかかる鮮血。 鋭く響く、笛のような甲高い音色。 俺は気管を切り裂いたらしい。 絶叫すら挙げる事が出来ず、動きを鈍らせる大蛇。 逆手に太刀を構えたまま、俺はハルピュイアの腹の下を駆ける。 顎から腹までを縦に裂かれのた打つハルピュイアの大蛇は、最後の力を振り絞って、俺を薙ぎ倒そうと鞭のように横に跳ねた。 鮮血が弧を描いて飛び散り、空気の裂ける音が辺りに響いたが、俺は既に床の上に脚をついてはいない。 『――跳べ!』 『鬼切丸』の声が響き、俺は無意識にそれに従う。 ――後方宙返り。 スロー再生のように、俺の背面から黒い影が伸びるのが見える。
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