古代神降臨

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背中の上の俺を何とか振り落としたいのか、さかんに羽ばたきを繰り返すハルピュイアだが、俺だって今日まで半端な鍛え方をして来た訳じゃない。 まるでロデオマシンのように不規則で唐突な動きを、俺は下半身だけでいなしている。 『目に頼り過ぎなんだよ!てめぇ、何度言ったら分かるんだよ!』 ノーラの喚き声が耳元に蘇った。 少しは感謝しなくちゃな。 口元に再び笑みが浮かぶ。 一日も欠かさなかったジークンドーのトレーニングが、意外な所で役に立っている。 ……水になるんだ。 刃に意識を集中すると、躯の奥底から湧水のように力が溢れてくる。 ――! 恐らく、俺を振り落とせない仲間に苛立ったのだろう。 ハルピュイアの一頭が、巨大な翼を広げて甲高い叫びを挙げた。
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