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恐らく毒を分泌しているのだろう。それぞれの牙から、糸を曳くように透明な粘液を滴らせている。
ヌラリ。と鱗の一枚一枚を光らせながら、長い躯をくねらせてその紋様を変化させる。
不用意に牙の間合いに踏み込めば、即戦闘不能に陥るだろう。しかし、残りの一頭が、俺の隙を窺うように左側へと回り込んでいる。
……死角に入られると危険だ。そう判断した瞬間、異変が訪れた。
痙攣しながら躯を横たえて腹を見せるハルピュイアに向かって、猛烈なスピードで走る透明な襞。シュブニグラスだ。
下腹部の奇怪に蠢く透明器官から、ネバネバと糸を曳いて宙を伸びる触手群。おぞましい異形。
「オオオオオオオオオオッ!」歓喜に打ち震えるように、シュブニグラスが歯茎を剥いて咆哮する。
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