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丸いシュブニグラスの腹がはちきれんばかりに膨張し、その内側でハルピュイアの骸が渦巻くように激しく蠢く。
……ドグンッ!
空間を揺さぶるような、激しい衝撃と振動。
……ドグン。……ドグンッ! 躯を揺すられる度に、俺の内部には不安が、恐怖が、黒々とした暗黒への畏怖が溢れかえる。
二頭のハルピュイアも、怯えた様子で後退った。
まるで、俺やハルピュイアの恐怖を吸い上げるように、禍々しい体躯を巨大化させるシュブニグラス。吸い込まれたハルピュイアの骸は、透明である子宮の内部に跡形もない。消化――いや、吸収しているのだろうか。
ハルピュイアの骸をあっさりと喰らったシュブニグラスは、満足そうな笑みを浮かべて俺達を見下ろしている。
『さぁ……もっと贄を捧げなさい。……今宵は満月……。潮の満ちるのを待って生命の種を蒔きましょう。汝らが望む生命のカオス、進化の極みを授けましょう……』
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