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ビクンッ。と体躯を痙攣させ、鎌首を左右に振り回し、食い込んだ刃から逃れようともがくが、俺はそれを許しはしない。――いや、鬼切丸が、だ。
強烈な振動と凄まじい霊気を発しながら、鬼切丸の刀身は、ハルピュイアの巨大な眼孔へと喰い込んでいく。
柔らかなゼラチン質を突き抜け、俺の右腕は、ハルピュイアの眼球へと肩まで沈んでいる。
ゴリッ。と眼底の骨を突き抜ける手応え。俺は、鬼切丸の求めに応じるまま、柄を握る拳に力を込める。
――ぶじゅり! 溢れ出し、周囲へと飛び散るゼラチンと体液。
周囲の筋肉がビクビクと痙攣する。俺の右腕を突き入れたまま、眼球がグルグルと回転しているのだ。
頭蓋を突き抜け、刃が脳へと到達したのだろう。急激に手応えを失い、太刀が深々と吸い込まれた瞬間、眼球はグルリ。と回転して動きを止めたのだった。
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